Aクラスアンプの製作
アマゾンやyahooショッピングなどで,アンプモジュールの入手
が容易になっています.自作する人にとってはお手軽にアンプを
作ることができます.そのなかでもディスクリートのアンプモジ
ュールは,
A.完成品
B. 基板+パーツ一式
C. 基板のみ
の3通りあり,使いたいパーツでモジュールを構成したい場合Cが
魅力的です.アマゾンで探したところ
PASS A3シングルエンドクラスAパワーアンプPCBボード(2枚の
基板)
というのを見つけて購入してみました.

PASS A3シングルエンドクラスAパワーアンプ
PASS labsにもFirst wattにもA3というアンプはなさそうです.
Aleph3というステレオパワーアンプはありますが,このアンプ
は入力はアンバランスのみです.しかし,入手した基板は,バラ
ンス,アンバランスの両方が入力として使えます.
おそらくAleph3からリバースエンジニアリングして,修正したも
ののように思います.アンプの構成は省略しますが(ネットにた
くさん情報があります),特徴はAクラスのシングルエンド動作と
いうことで,大量の熱を発生します.
Aleph3の仕様をみると,8Ω30Wという定格出力のようです.簡単
のため32Wとすると最大出力時に2A流れます.ということは無出
力時でも(アイドリング電流は)2A以上を流す,という感じです.
電源電圧は+-25Vなので,100W以上消費します.ステレオならば
倍になります..確かに仕様では消費電力250Wになってますね..
電源トランスもそれなりのものが必要です.
今までの経験では,終段のアイドリング電流は200mAくらいなの
で,オリジナル通りにつくろうとすると10倍以上流すことになり
ます...なんかストーブを作ろうとしているような感じになっ
てきました..
検討中ですが,電源電圧や最大出力を下げることを考えます.ア
イドリング電流は少し(半分以下に)下げます.パラレルの終段
をシングルにする予定なので,それだけで半分になります.
MUTE回路基板をつくっておく
完成して,電源ON,OFF時のポップノイズがないようなら不要な
のですが,おそらく必要になるだろうなぁということであらかじ
めMUTE回路基板を作っておきます.この基板は,D2PAK-3のパッ
ケージのMOSFET用です.秋月の在庫処分にTK100E10N1があった
ので(2022年8月),それを使いました.少し加工が必要です.制
御するマイコンは別基板に実装します.

電源回りを試作し,初段のFETを選別する
どちらかというと,FETを選別するために基板と電源回りを試作し
ていきます.まずは入力にある差動動作するFET IRF9610の選別
をします.たまたま20個もっており,1つは定電流源につかい,
残りの19個を実際の基板で動作させて選別します.基板も定電流
回路と入力回りを作っていきます.

追加したところは,100uFのデカップリングコンデンサに0.1uFの
セラミックコンデンサを並列につけました.また,定電流回路に
つかうツエナに10uFの電解コンデンサを並列につけました.
逆に,バランス入力にある部品はつけません.入力電圧の制限の
ためのツエナは付けるかどうか思案中.終段の電流制限の回路は
アイドリング電流もきめて完成前に定数を決めます.
設計ミスで製作放置している箱に,15VAのトランスと電源基板を
とりつけました.この環境で,初段のFETの選別をしていきます.

一次側117V二次側15Vのトランスを使って,電源回路の出力は無
負荷で約+-21.2Vです.定電流回路の出力を392Ωの抵抗を通すと
9.45Vが得られました.約24.1mA流れています.組みあがると2
つのFETにわかれて流れるので,一方には12mA流れることにな
ります.入力側にFETをとりつけ24.1mA流し,そのときのDの
電圧を計っていきます.
6個測定したところで,2ペアとれそうなので終了.用いる電源
トランスも到着したので,測定環境をバラし,終段のFETの選別
環境を作っていきます.
放熱器の準備
手持ちの放熱器のなかで大きめのものにLアングルをとりつけまし
た.それでも全然小さいです.最大出力は電源トランスではなく
放熱器で決めます(正確には放熱器+ケースの熱容量).

電源基板の準備
電源周りとMUTE回路をのせる基板を用意しました.電源トランス
は1つですが,整流回路以降は左右独立です.

電源の本番環境を箱に組み込み,終段のFETを選別する
初段の選別に使った箱を使おうかと思ったのですが,背が低くて入
りません.一回り大きな製作途中で放置されている箱を再利用する
ことにします.
アンプ基板に終段の-側(と+側の一部)を組込ました.ソースの抵
抗はオリジナルは0.33Ωですが,0.47Ωを使っています.終段のFET
の選別ですが,ドレイン側をGNDにつないで,0.47Ωの両端の電圧を
計っていきます.発熱しますので,ヒートシンクにとりつけて,素
早く測定します.終段はオリジナルはIRFP250ですが,手持ちにIR
FP140が10個あるので,それから4個選びます.

電源トランスと電源基板を箱に組込ました.整流ダイオードは基板
の下にあって,ケースに取り付けてあります.

終段の+側のパーツを基板に取り付けました.電流を決める抵抗は
まだです.半固定抵抗器を利用してオフセットが0になるように抵
抗値を決めます.ここは,固定抵抗器と半固定の組み合わせになる
かも知れません.

kitamiti@u-aizu.ac.jp